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防水講座

第1回 まず、防水の重要性とは

防水は、設計段階ではあまり気にされないものの、施工後のトラブルも多く、さらには建物長寿命のためにも 極めて重要な役割を果たしています。そこで本項では、建物の設計・施工段階(新築・改修とも)においてぜひご検討いただきたい 「防水」にかかわる技術的なポイントを、「防水講座」と題しまして毎回お伝えして参りたいと存じます。初回となる今回は、 「まず、防水の重要性」について見ていきましょう。

 

建物の不具合として「水のトラブル」がダントツ

過去に発生したトラブル(建物の不具合)についてのアンケート調査によると、「雨漏り」や「水漏れ」といった水まわりに 関するものが非常に多くなっています。この傾向はマンションだけでなく建築物全般に通じる問題と考えられます。 すなわち、「防水」について的確な選定、施工を行うことが竣工後のトラブル減少につながり、ひいては設計者や建設業者 の方々の信用を高めることにつながるのではないでしょうか。

過去に発生したトラブル内容:不具合(マンションの管理組合・区分所有者に対するアンケート調査結果)

 
出典:「新版 図で見るマンション管理」(2000年6月30日発行)
監修:建設省住宅局民間住宅課
発行:株式会社大成出版社

水の浸入が躯体コンクリートの劣化を促進

コンクリート構造物に対する防水が、建物を維持・さらに長寿命化させる上で重要な要素であることは学界 からも指摘されています。JRのトンネル崩落の調査もされた、大阪大学大学院 工学研究科 土木工学専攻 松井繁之教授も 「コンクリートはポーラスな材料であり、立面であってもその表面に「水」が流れると一部の「水」が吸収され、それが鉄筋 位置に到達するのである。そして当然、酸素も侵入するので鉄筋の腐食が起る。これを簡単に防止するには、土木構造筋にも 建物と同様に防水塗装をすること以外には無いのではないだろうか」(2000年4月号 防水ジャーナルより抜粋)とコメントされています。まさに、建物・土木を問わずコンクリート構造物の劣化を防ぐためには、「コンクリート内への水の浸入を防ぐ ための防水」が必要と提言されています。